あらすじ
オカルトライターの野崎のもとに、田原が相談に訪れた。身の回りに超常現象が起こっているためだ。
野崎は真琴とともに、調査を始めるが、田原に憑いているものはかなり危険なものだった。
真琴は自分の手に負えないと判断し、真琴の姉が手を貸すことに。
感想
前半から中盤すぎあたりまでは、田原家の様子が描かれます。
表向き外から見れば幸せな家庭。「育児に協力的なパパ」を演じる秀樹。でも本当のところは、まったく育児には非協力的で、香奈に任せてばかり。
秀樹はブログで良いことを書くためだけに良い面だけを書いて、あとは香奈に任せきり。
あまりに非協力的な態度に不満が募っていく香奈。
こうしたことがあり、それは娘の「ちさ」にも影響してしまい「ちさ」と「何か」につながりを持たせてしまうことになった。
秀樹のこうした偽りの姿が、さらに「何か」を呼び込むことになったと考える。
小さい頃、秀樹の知り合いの少女に言われた、「嘘つきだから連れていかれる」というのが現実になったのは、こうした偽りの自分を出してしまったかもしれない。
もしかすると、そういう姿がなく、本当に家族と向き合っていれば、秀樹が連れていかれることはなかったかもしれない。
最後の最後は、本当に家族のために秀樹も動いていたのでしょうがすでに手遅れということだったのでしょう。
秀樹がいなくなった後、香奈の生活も酷いものになり、徐々に香奈にとってちさが重荷になっていた。そのことはちさにも重荷になり、結果的に香奈も「何か」に連れていかれることになった。
この「何か」については、恐らくは、劇中に出てくる山に連れていかれるというものと同じものだと思われる。
あまりに強力なものであるため、各地から集まるその道のプロでも、まずはその場にたどり着けるかがわからない。何人かたどり着ければいいだろうなんて言ってしまう。
このことからも、相手がとにかくとんでもない「何か」であることは間違いない様子。
「何か」の正体がわからないうえに、防げる手段もそれほどないのが怖い。
電話で声色もまねてくるという、チート過ぎる設定もあり。こんなのされたら、何を信じていいか本当にわからなくなる。この正体不明の「何か」がとにかく強力すぎて恐ろしい存在。
この作品の見どころは本当に最後の最後。この手前までは何だか気分が悪くなるような話の連続であまり好きになれない。
最後の払いの儀式。この儀式の大がかりなこと。
各地から集まった人たち、何なら国の力も借りての儀式。この最後のシーンを見るだけでもいいのではないかなと思うくらい。
最終的に、「何か」がいったいなんだったのかは最後までよくわからないので、もやもやするが、総じて最後のシーンがあったから許そうと思えた。
まとめ
この作品は1つは嘘ついたらダメだよっていう子どもにいい聞かせるための迷信。その迷信が現実になったら怖いなっていうところがある。大人になっても嘘ついたら連れていかれるから、嘘つくのは止めようとなんとなく思えた。
そしてもう1つは、子どもへの接し方。親が仲が悪いことは子供にも悪影響。
作中では、そのことで子どもが構ってほしくて「何か」を手なづけるという恐ろしい展開になっていて、そして子どもだからどう扱っていいかわからず、子どもなりに構ってほしくて、「何か」を使うという恐ろしい方向に向かっていた。
ここまでの展開には現実ならないだろうが、きちんと子どもと向き合わないと子どもの心に深い闇を落としてしまうというのは、この作品で感じたこと。
田原家を半面教師に、改めて子どもやパートナーときちんと向き合おうと思った。
キャスト
監督 中島哲也
岡田准一(野崎役)
最後の方は、琴子にぶん殴られたり、刺されたりなんだかかわいそうな役。
黒木華(田原香奈役)
人生を通じて、なんだか幸福な時が全く見えない。香奈を見ていると結婚は個人でやるものではなく、本当に家と家の関係だなと思ってしまう。
小松菜奈(比嘉真琴役)
姉に追いつくために、自力であれだけの能力を会得したのはすごい。
松たか子(比嘉琴子役)
この役柄がとにかく似合っている。なんだかんだで妹思い。
妻夫木聡(田原秀樹役)
夫としては、もう救いようがない。本当に最後の最後は家族のためにがんばっていたと思いたい。
青木崇高(津田大吾役)
親友と見せかけて実はっていう人間の黒い部分を体現してしまった。
柴田理恵(逢坂セツ子役)
この役柄も似合いすぎていますね。最後は死んでしまったのかな?残念です。