映画

見えない目撃者 ネタバレ映画感想


(C)見えない目撃者 東映ビデオ公式サイト

あらすじ

警察官として勤務しようとしていた浜中なつめ。
その矢先に、不注意で事故に会い弟を亡くし、自身も視力を失ってしまう。
自分の人生も終わっていると思いながら過ごしている。
そんな時、車とスケートボードの接触事故に遭遇。
車に近づくと、車から助けを求める声が。
警察に訴えるも捜査は打ち切り。なつめは、自ら事件を調べ始める。

予告編

ネタバレあらすじ感想

冒頭から失明まで

警察官になってさあこれからって時に事故を起こす。
完全な前方不注意で、交通安全ビデオに使ってはどうかと
思うくらいの内容。しかし、失明する理由がこの事故だとは
思わなかった。見た目、全く外傷もないような状態だったので、
少し、頭を打ったような描写もあったほうが良かったのでは
ないかなと思った。弟が必死に助けを求める中、
何もできずに、車が爆発してしまうのは、かなりトラウマになる
出来事である。なかなか残酷な描写だと思った。

捜査のパートナー春馬君

車の目撃者として、なつめのパートナーをつとめる春馬君。
けっこうやる気のない感じで登場して、自分は関係ないを貫いて
いたのに、急にやる気になったのはなぜだったのか、このあたりの
描写があまりないので、ややわかりにくいが、何か役に立ちたちと
いう思いが出たのでしょうか。なんだかんだで、協力するところは
いいやつなんだなというのが伺いしてます。
話は変わりますが、春馬君の担任の先生のすがすがしいほどの
ストレートな気持ちの伝え方は、ある意味それはそうだよねと
逆に好感を持てました。

素晴らしいほどの情報開示

映画の中で、捜査員の木村さんは、一般人のなつめに、
捜査状況をどんどん話します。実際そんなことはありえるのか
わかりませんが、普通のドラマなら、君は一般人だから
あとは警察に任せなさいと言われて追い出されるような
展開が期待されるところですが、この映画ではそれは一切なく、
どんどん情報開示が行われます。なつめが元警察官ということを
考慮して教えているのかもしれませんが、なにせ、なつめは
交番勤務前に、事故を起こして退職しているので、警察としての
勤務実績はほぼゼロ。しかも警官が事故を起こすなんて、
あってはいけないことですよね。本来なら、そういう人間に
捜査情報は教えないような気がします。このあたりが、
映画とは言え、やや違和感をぬぐえないところが出てきた一つですね。

気持ちが右往左往するなつめ

女の子を助けたい、そんな思いで必死に捜査を続けるなつめ
生きている気力を無くしているような人間がそこまでの気力を
持てるのかは疑問ですが、そこは警察になりたいと思っていたくらいの
正義感がそうさせたのでしょう。
パートナーの春馬君は、そんななつめに、振り回されます。
捜査協力をといったかと思えば、協力するなと言ったり
結構、自分勝手な主人公に、振り回される春馬君。
あげく、自分はやっぱりだめだみたいな、半ば投げ出した感じにも
なってしまうなつめ。ほんとに気持ちがふらふらしています。
生きるための、気力になるようなものが、女の子を助けたいという
気持ちだったのかもしれません。もちろん弟と近い年代の子を助けたい
そんな思いもあったのでしょうが、それにしては、気持ちがふらふら
しすぎているなというのもやや違和感がありました。

捜査員の木村さん

捜査員の木村さんは、とってもいい人でした。
なつめのことも最初から疑ってかからずに、よく話を信じて
くれてなつめに協力的な人でした。もし、同じ警察官であれば
こういう人でありたいなと思うような気もします。
そんな木村さん、定年まであと1年ということで、平穏無事に
終わりたいところもあったのでしょうが、最後の最後では、
やはり現場に残ると決意表明をしておりましたので、
事件を通して、気持ちが変わったのでしょうね。

定年退職後のやりたいことっていうのが、2回ほど出てきますが、
2回とも濁すので、どんな伏線なんだと思ってみていましたが、
あまり大したことはなく、結局現場に残るって宣言をして
なぜか、犯人に背を向けて殺されてしまうというあっけない
最後を迎えてしまいます。犯人である日下部君が、自分の説得を
聞いてくれたと油断してしまったのでしょうか。せめて、
相棒の吉野君を連れてきておけばというところでしたが、
時すでに遅いというところですね。

犯人VS主人公(地下鉄の攻防)

さて、木村さんを倒した犯人は、なつめに接触をします。
あれだけ、勘の鋭さを発揮していた主人公、しかも警察の内部に
犯人がいるという状況で、不用意にも犯人を信じてついていきます。
やはりここも違和感があります。もう少し疑ってもいいのではないか。
ここに、そういう描写があるともう少しよかった気がします。

そして、地下鉄を逃げ惑う主人公。あれだけ助けを求めているが、
人が誰もいない駅っていうのはどういうことでしょうか。
電車は通っているので、終電後ということではなさそうですが、
あまりに人が少なすぎるのに違和感を感じます。ましてや
駅の事務室に、駅員がいないとかどこの田舎なのか。

追い詰められたなつめは、お母さんが入れてくれた防犯スプレーを
駆使し、なんとか逃げ切ろうとします。この映画は、
伏線がわかりやすいですね。伏線発生から、伏線回収まで時間が
短いので、かなりわかりやすいです。サスペンス映画として、
いいかどうかは別ですが。

さて、この地下鉄の攻防でのなぞですが、まず地下鉄に乗って
逃げたなつめ。無事に逃げ切れたと思ったら、犯人が
降りた駅で待ち伏せしている!?これは、一緒の電車に乗ってた
ということでしょうか。乗ったような描写はなかったですが、
乗っていなかったとしたら、なぜ降りる駅がわかったのか
それが疑問すぎます。

犯人の潜伏先へ

なんとか、犯人の潜伏先を特定して、捜査官の吉野君、
そして、なつめと春馬君の3人で向かいます。
可能性があるのであれば、この時点で応援を呼べばよかったのでは
ないかと思うのですが、確信がないからかまだ呼びません。
いよいよやはり潜伏先は、ここだとわかってから応援を呼びます。
しかし、吉野君は待機命令を無視して、潜伏先に侵入します。
性格的に、なつめが行くっていうところを、吉野君が止めるような
構図が普通かなと思うのですが、今回は、吉野君が暴走するパターン
でした。これは、春馬君の「警察官は正義の味方じゃないのか」という
言葉が答えていたのでしょう。春馬君はこのあと、いろいろ後悔
してしまうのではないかと心配になってしまいます。
そして、このパターンは、殺されるパターンですよね。
案の定殺されてしまいますが、ちょっと殺され方がグロいです。
個人的に、そういうグロさは求めていないので、ちょっとやめてと
思ってしまいました。

犯人の潜伏先での攻防

さて、吉野君もいなくなったので、いよいよなつめと春馬君の出番です。
ここでも主人公は、めちゃめちゃな能力を発揮して、間取りを口頭で
聞いていただけで、あるはずの階段がないみたいなことを
言ってしまいます。恐ろしい能力です。
ちょっと気になったのは、ここの潜伏先は、空き家になっています。
つまり借り手が決まっていない状態なのですが、
なぜか水も出るし、電気もつきます。誰が支払っているのかちょっと
気になります。まあ、その話は置いておきましょう。

主人公は、目が見えない自分の利点を使う為(たぶんそのためだと思う)に
電気をショートさせて停電状態にします。
暗闇にして、元から目が見えない自分が優勢だという展開なのかと
思いきや、普通にライトを照らしながらくる犯人。
特に、有利に立つための展開は全くないので、あれって感じでした。
違和感は、まだまだあります。途中、春馬君の携帯電話の明かりで
犯人にわざと居場所を特定させるような罠をしかけていましたが、
携帯をおいていたのはクローゼットの中。果たして、部屋の外まで
携帯の明かりがもれるでしょうか。そんな疑問をよそに
犯人はまんまと罠にかかり、クローゼットに閉じ込められます。
そのまま閉じ込めて警察を待つのかと思いましたが、
なぜか、その場から離れる2人・・・。そのままベッドをおさえて
クローゼットに閉じ込めておけば警察が来て終わりっていう
展開だったでしょうが、映画的にそれは面白くないからNG
だったのでしょうね。そして、この時点で、春馬君が実質
リタイヤします。そうなると主人公一人で、誘拐された子を
助けるという展開になります。

間取りを口頭確認しただけのはずの主人公は、
もう本当は目が見えてるでしょ?っていう活躍を見せます。
もうあまり失明しているという設定はいらない気がしました。
そして、ついには犯人を撃ち殺してしまいます。
警察を待てば、生きたままの逮捕も可能だったかもしれませんね。
吉野君は、拳銃使っても、全然当てれなかったのに、さすがは主人公です。

この、潜伏先での攻防ですが、吉野君を殺すところまでは、
犯人の残虐なところがよく出ていたと思いますが、
春馬君と争うあたりから、残虐性が失われます。どうしたのでしょうか。
木村さんを容赦なく刺し、吉野君を脳天から切り殺した犯人。
なぜか、春馬君は、すぐに刺さずに、蹴るという手段を使います。
自分が知っている犯人なら、春馬君はこの時点で刺殺されてたと思います。
主人公も同様で、逃げるときに、犯人に背後を見せていましたが、
この時点で刺し殺されていたはずです。
このあたりの展開がやや違和感でしたね。犯人の冷酷さも伝わるような
展開だったならもっとよかったなと思います。

まとめ

映画なので、多少の現実離れはまあいいかなと思います。
脚本があまりよくないのか、監督の表現がもう少しなのか
わかりませんが、いろいろな描写をもう少し違和感なく
表現してもらえると、もっとのめりこめたかなと思いました。
最後のほうは、主人公は失明しているという設定自体
忘れてないかなって感じでしたので。そのあたりが良かったら
けっこうおすすめな映画だったと思います。

評価/キャスト

オススメ度 ★★

ジャンル:ドラマ・サスペンス

監督:森淳一

出演:
吉岡里帆(なつめ役)
弟を亡くし、警察官という職業にもなれなかった、
いろいろ人生に絶望している。
後半は特に失明しているようには感じられない。
実は見えてるんじゃないのかって感じでした。

高杉真宙(春馬役)
何にも興味がないようなそぶりを見せていたが、
なぜか、主人公の捜査に積極的に関わるようになる。
車にひかれて入院したときも、学校の3者面談も
最後まで親が出てこない。ある意味ほんとうに
見捨てられているのであろう。

田口トモロヲ(木村役)
すごくいい警察官。最後は油断して、犯人に背中を向けてしまう
という失態をおかしてしまう。退職後にやろうとしたことが
死ぬ前に出てきたが、引っ張るだけ引っ張って、やりたいことは
それかって感じだった。また、その話をなぜか犯人に
しているところが、よくわからなかった・・・。
思えみたいな悪いやつがいるから、まだ引退できないっていう
決意表明だったのでしょうか。

大倉孝二(吉野役)
警察官は正義の味方ってところをみせてやるよっていう
言葉を残し、犯人に殺されてしまう。春馬君が、いらないことを
言わなければ、きっと死ななかったでしょう。
口は災いの元であると思いました。

浅香航大(日下部役)
サイコな犯人でした。これだけ残虐性の高い犯人が、
主人公たち2人に対しては、その残虐性が見受けられなかった。
ほんとうにここの描写だけ変わるともっとおもしろかった気がする。

松田美由紀(なつめの母役)
娘は、事故以来反抗的、しかも警察官でもないのに
変な事件に首をつっこんでいく。
ある意味心労が絶えず、一番かわいそうな人ではないだろうか。

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