あらすじ
ある日の診察。松岡は1人の患者を風邪と診断し安静にしておけば大丈夫と伝え帰宅させることに。
後日、この患者が病院に搬送されるが吐血し死亡してしまう。
突然のことにとまどう松岡。養鶏場でインフルエンザが確認されたこともあり、その関係性が疑われる。
原因は新型インフルエンザなのかそれとも別のウィルスなのか。はっきりしないまま感染が拡大されていく。
感想
2009年制作の映画です。コロナウイルスが流行している今改めて視聴すると、また違った視点で見ることができます。
未知のウィルスの感染拡大とそれに伴う医者たちの奮闘やその家族の思い、感染源と疑われた家族の状況など人間ドラマ的な要素が強いものになっています。
それぞれの思いをそれぞれの視点から描いているので、各方面その立場にあった人が、それぞれの人に思い思いに感情移入できる点もあるのではないかと思います。
特に医療現場の方の視点から描かれている為、その部分が強く表現されているのかなと思います。
患者を救うために、いろいろな判断をしなければならないし、時には非情な決断もしなければならない、実際こういう状況があるのかわかりませんが、医療に携わる人は本当に大変だなと改めて思いました。
コロナウイルス流行前だと、それほど思わなかったことですが、実際にそれを体験してしまうと映画の中でのツッコミどころがたくさん出てしまうのは、映画としてはかわいそうなことになってしまったのかなと思います。
実際それはだめでしょうというのがかなりたくさんあって、役者の皆さんが熱演しているところ申し訳ないですが、良い演技がかすんでしまうのが残念なところ。
ツッコミどころはたくさんあって
- マスクをせっかくしているのに娘と話すためにマスクをはずす医療関係の母親。
- 感染が拡大しているのに、松岡がとにかくアクティブに各地を飛びまわりすぎ。
- 院内感染をしないようにしないといけないのに、病院関係者が1つの部屋に密集してお別れ会。
- 感染源と思われる地域で感染が拡大していることが疑われているのに、日本に帰国して家族に会う医者。
- 医療現場で手が回らないと言っている割に、すぐに現場から離れる医療スタッフ。
- 目の前で患者が死にかけているのに、TV電話をかけてくるWHO関係者とそれに応答する松岡先生。
- 感染者の病床に感染していない子を呼び込む先生。
- 検体を簡単に持ち出すことができる警備体制。
- 感染拡大しているとはいえ、建物や都市の劣化が激しすぎる。
- あれだけ吐血して死亡しているのに、ほぼ吐血もなくやけに綺麗になくなる医療関係者。
あげているときりがないのですが、これだけツッコミどころが出てしまうのもきっとコロナのせいです。
ただ、コロナがなかったとしても、切迫している医療現場のわりに、所々で人間ドラマが繰り広げられるため、この医療現場の切迫感が失われてしまうのが残念。
海猿は見たことがないですが、あれも緊急事態の時に人間ドラマが描かれるらしいですが、海外の人から見ると「こんな時に何しているの?」ってなるそうですね。
まさにそんな感じなのかなと思いました。
各視点から感情移入できると上で書いていますが、逆にそれが悪い部分でもあります。
物語があちらこちらに行ってしまって、それぞれのストーリーをつまみ食い的に回収する必要が出ています。全体がうろうろして忙しい感じになってしまっているのは残念に感じました。
映画の中では、新型インフルエンザを発生させたとして、誹謗中傷を受ける家族が描かれていました。コロナでもこういうことが現実的にあったんだと思います。
こういうことができる人の気持ちはわかりませんが、こういう映画の表現をみることで、そういうことをする人が少しでもいなくなるといいなと、毎回この手のものを見ると思います。
ウイルスもそうですが、人間のこういう部分は本当に怖いです。
まとめ
コロナを体験した今となっては、やはり違和感があるシーンが多いですね。
ややオーバーに感じる表現が多いですが、現実問題として似たような境遇にさらされている人もいると思います。あらためて医療現場で働く皆様には感謝しかないと感じました。
キャスト
監督 瀬々敬久
妻夫木聡(松岡役)
とてもアクティブな医者。感染が拡大する中、いろいろ飛び回っていますが、自分が感染を広める心配はないのかとツッコンでしまいます。
いろいろな人の死に目にあい、ある意味メンタルが強いなって思います。
檀れい(小林栄子役)
どこでどう感染したかわかりませんが、最後は命をかけて治療法を提案します。この人感染してたら、松岡君もあぶないんじゃないかと思いますが。
医療に命をかけているところがあるわりには個人の感情を優先してしまうところがあり、人物像とちょっと離れている表現があるところが残念。
国仲涼子(三田多佳子役)
医療の現場で、家族にも会えずにがんばる母親役。
こういうかたは、コロナでもいるのかなと思います。個人的に、配偶者が自分の子供を病院近くに連れ出して来たら怒るかもしれません。
池脇千鶴(真鍋麻美役)
自分の親が日本に広めたかもしれないという事実に恐れをいだきます。松岡を責め立てていましたが、実は旦那がなくなったのは自分の父親が原因となってしまうとかなり気まずいですよね。
カンニング竹山(鈴木浩介役)
誰よりも先にウィルスを特定する。検体が手に入ったとはいえ実はすごい研究者では。松岡も含めて、みんな好き勝手にいろいろやるので、この映画の日本政府は本当に何もしてないんですよね。
嶋田久作(立花修治役)
世界保健機関の手が及ばないような地域で医療を行う立派な方。
そんな方ですが、感染が起こっている地域から日本に戻ってくるというのは、医師としての行動としてはどうなんでしょうね。
ダンテ・カーバー(クラウス・デビット役)
松岡を連れて感染源のある地域に同行したものの、松岡が勝手に従う必要はないと言ってから、2度と登場しなくなった。
ちょっと退場のさせかたが唐突でかわいそうな役。
藤竜也(仁志稔役)
ガンにかかってから、病気と共存するという考え方に至っている。
ウイルスも殺さずに、共存できないですかね?みたいな考え方みたいですが、正直ちょっとわからなかった。